
Pakui Hardware(パクイ・ハードウェア)は、リトアニア出身で現在はドイツのベルリンとリトアニアのヴィリニュスを拠点に活動する、Ugnius GelgudaとNeringa Cerniauskaiteの二人によって2014年からスタートしたアーティスト・デュオです。
彼らのインスタレーションは、人間、環境、テクノロジー、経済の関係を軸に展開しています。人工知能を搭載した機械とのコミュニケーションが増え、介助システムがパートナーのように対話をし、バーチャルなケアが人間との接触に取って代わったとき、身体とテクノロジーの関係はどのように変化するのだろうか。テクノロジーが現在の経済や、人体を含む物理的な現実そのものをどのように形成しているのか。技術開発の速度に関連して、物質は障害物であると同時に媒体にもなるのか。これらの問いは、高速高頻度取引、プロメテウス主義、合成生物学、新物質などの例を通して分析されます。このような問いが彼らの芸術作品の根底にあり、多くの影響を受けて変化し最適化できるインターフェースとしての身体を作品の中心に据えています。
オアフ島を1日に6周することができるハワイの女神の特別な従者Pakuiにちなんだ彼らの名前は、神話的な記号論的コモディティとしての高速性とブランドポリティクス、そして物質的な制限を超越するための欲望を表現しています。彼らの名前に象徴されるように、有機的な要素と化学合成的な要素が組み合わされ、自然と人工、内と外というカテゴリー分けに疑問を投げかけるハイブリッドな彫刻群を形成しています。あるものは代謝過程や未来的な実験装置を連想させ、またあるものは断片的な形態から不気味なエネルギーを放つ異質な生命体の造形物のように見えます。デジタル化、合成生物学、ロボット工学、ボディデザインに関連する警告、恐れ、脅威に言及することで、作品は批評的な可能性をも展開するのです。
本書は、Günther Peill財団の奨学金を得て、ドイツのデューレンのLeopold Hoesch Museumでの展覧会を記念して2021年に刊行されました。二人による数々のインスタレーションの図版に加え、作品紹介、アーティストやキュレーター等へのインタビューを掲載するウェブサイトSaliva.liveのIlona Dergachのインタビュー、邦訳「再帰性と偶然性」が2022年に出版された哲学者Yuk Hui(ユク・ホイ)、科学史・社会学者Hannah Landecker、キュレーター・作家Alvin Liによるテキストを収録しています。
Published by: Günther-Peill-Stiftung, Düren
Concept: Pakui Hardware
Editors: Pakui Hardware, Andreas Prinzing
Design: Vytautas Volbekas
Edition: 500
https://www.pakuihardware.org/
https://www.leopoldhoeschmuseum.de/en/ausstellungen/2021/pakui-hardware-peillstipendiat-innen-2018-2020
https://saliva.live/pakui-hardware