アーティスト／リサーチャーであるSophie Krier(ソフィー・クリエ)が主宰し、オランダのギャラリー兼出版社Onomatopee Projectsがホストするリサーチプラットフォームであり、シリーズ書籍「Field Essays」のシリーズ第４号である本書は、パリを拠点に活動するデザインデュオ、dach&zephir(ダック＆ゼフィール)の作品に見られる、脱植民地的で触覚的なリサーチアプローチを紹介します。2018年にOnomatopeeにて展示が行われ、2019年に書籍として刊行されました。 「Field Essays」の主宰ソフィー・クリエは、クレオールの歴史とカリブ海に浮かぶフランスの海外県の一つ、マルティニーク島の記録映像を織り交ぜた研究「Éloge Créole, Chapitre 2, Escale 1」を継続的に行っています。 今回の「Field Essays」では、パリを拠点とするデザインデュオdach&zephirのビジュアルワーク、グラフィックデザインスタジオIneditionのビジュアルリフレーム、そしてマルティニーク島の社会学者で詩人のAndré Lucrèce(アンドレ・ルクレース)、美術史家のThomas Golsenne(トーマス・ゴルセンヌ)、作家でキュレーターのLucy Cotter(ルーシー・コッター)によるエッセイが収録されています。 クリエは作家でキュレーターのルーシー・コッターを招き、文化交流の倫理と、共同制作における未知のものが新しい思考を生み出す可能性について考察しました。また、美術史家のトーマス・ゴルセンヌと、修復と再構成の（非）科学である「Bricologie(ブリコロジー)」のレンズを通して、彼らの作品を分析しました。社会学者で詩人のアンドレ・ルクレースは、島の視点から、今日まで続く（精神的な）ヒエラルキーについて語っています。 「Field Essays」は、実践に基づく研究に対する編集的なアプローチをとっています。それは、未知の領域、方法、作品を探求する周辺的な実践を探る生きた会話プラットフォームとして機能しています。このようにして「Field Essays」は、今日の生きた実践を明らかにし、伝達の象徴的な行為や、物が伝える意思表示を信じて、アイデンティティーの歴史的な形成に焦点をあてています。 2016年にFlorian Dach(フロリアン・ダハ)とDimitri Zéphir(ディミトリ・ゼフィール)はデュオdach&zephirを結成し、それぞれのアプローチを融合して活動しています。ゼフィールの論文「Les mailles fertiles d'un créole」（クレオールの肥沃な網目）に基づき、彼らは2017年にフィールドリサーチ「Creole Praise(クレオール・プレイズ)」を開始し、フランス領アンティルにおけるクレオール化のプロセスを養い、今も続いているメカニズムを明らかにし活性化することを目指しています。プロジェクト「Creole Praise」の対話者の一人である詩人・作家のErnest Pépin(アーネスト・ペパン)は、クレオール文化を「à partir de restes」、残りものから構築されるものとして理解しています。 「私たちは、工業製品のデザインを学びながら、広大なデザイン分野の研究者・作家として自分たちを位置づけています。私たちにとって、モノはメディアであり、物体であり、その普及範囲や機能とは無関係なものです。私たちは、モノが持つ伝達と鑑賞の象徴的な次元を確信しています。私たちの意図は、本質的に「何が歴史とアイデンティティを作るのか」を問うことです。私たちは歴史や文化遺産を豊かな素材、つまりそれぞれの品物に固有の物質、形態、用途の言語を生み出すことのできるストーリーテリングの一形態として捉えています。私たちは、オブジェを作ることで、探検する地域の歴史的、文化的な特異性を明らかにし、伝えることを提案します。私たちがデザインしたいオブジェは、世界を媒介し理解する道具として機能し、物語から織り成される複数の世界史に貢献するはずです。」 - フロリアン・ダハ、ディミトリ・ゼフィール https://www.onomatopee.net/exhibition/field-essays-eloge-creole-creole-praise-by-dachzephir/ https://sophiekrier.com/#field-essays http://www.dachzephir.com/