1972年にNASAがアポロ17号で撮影した「青い大理石」のような地球の写真を発表して以来、私たちの世界の見方は大きく変わりました。もはや世界は、ゆっくりと動く穏やかな球体ではなく、デバイス、ソーシャルネットワーク等の様々なプラットフォームを介した人々やモノの相互のつながりが、誰も追いつけないほど急激に強まり活発になった温室として認識されるようになったのです。インターネットは人間社会を束縛し、世界の様々なネットワークをインターネットとして置き換えてしまったのです。本書では、作家でありキュレーターでもあるOmar Kholeif(オマー・コレイフ)が、このデジタル化されたネットワークによって伝播され、また消費される文化の誕生をたどっています。インターネットは私たちのイメージの見方や関わり方を変えてしまったのでしょうか?進化するテクノロジー、広範な配信、スクリーンとの相互作用によって、知覚の場はどのように変化してきたのでしょうか。eBayオークションから拡張現実まで、多様な文脈で活動するアーティストたちは、これらのテクノロジーによって決定される新しいエモーションの方法をどのように作り出してきたのでしょうか?2000年以降に形成された文化的・芸術的景観に焦点を当てながら、コレイフは、ポスト・ミレニアル世代のテクノロジーによって出現した、見る、感じる、存在するための新しい言語の文脈を明らかにし、ポストデジタル状態の微妙な理解を論証することを目指しています。イギリスの小説家、美術評論家John Berger(ジョン・バージャー)『Ways of Seeing』(邦訳『視覚とメディア』)やアメリカの評論家、作家、未来学者のAlvin Toffler(アルビン・トフラー)の『Future Shock』(邦訳『未来の衝撃』)からヒントを得た本書は、一部回顧録や批判的分析を含みつつ、インターネットの世界の変化に関心を持つ人々にとって不可欠な一冊となるでしょう。
テキスト多めで勿論全部英語なので読み熟すにはハードル高めですが、google翻訳のカメラ入力でテキストを翻訳する機能やDeepLを活用するのも良いと思います。
作者のOmar Kholeif(オマー・コレイフ)は、作家でありキュレーター、文化歴史家、そしてアーティストとして、そのアイデアを言葉や展覧会、コラボレーションによって実現しています。2022年1月現在、彼はアラブ首長国連邦シャルジャ政府のシャルジャ・アート財団(SAF)でコレクション・ディレクターとシニア・キュレーターを務めています。当初は政治学者としての訓練を受け、英国の放送局でライター、リサーチャー、ドキュメンタリー番組のプロデューサーとしてキャリアをスタートさせました。この15年間は、美術館の絵の宮殿と、公共圏と関わるアートの可能性を探っていました。その後、植民地主義、民族、人種の物語と新しいテクノロジーの交差に関心を持ち、音楽とパフォーマンス、不安とメンタルヘルスの表現、社会正義、デジタル文化の美学など、社会から疎外された歴史に焦点を当てた作品を発表しています。
https://www.sternberg-press.com/product/goodbye-world-looking-at-art-in-the-digital-age/
https://www.omarkholeif.com/
表紙に小さな折れ有りがあります。