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Sung Tieu : OATH AGAINST MINIMALISM

5,500円

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本書は、1987年ベトナム生まれでベルリンとロンドンを拠点に活動するアーティストSung Tieu(ソン・テウ)の多面的な活動を記録しています。豊富な図版、国際的な美術史家やキュレーターによる4つのエッセイ、そしてアーティストへのインタビューを含む本書は、彫刻とサウンド・インスタレーションで不気味で没入感のある空間状況を作り出し、官僚的な権力構造、グローバル資本主義、音の心理効果、冷戦の遺産を背景にした彼女の作品を紹介し、テウの活動を包括的に理解できる内容となっています。テウの展覧会「Zugzwang」(Haus der Kunstハウス・デア・クンスト、2020年ミュンヘン)と「In Cold Print」(Nottingham Contemporaryノッティンガム・コンテンポラリー、2020年ノッティンガム)での開催を記念して出版されたものです。 「Zugzwang」と名付けられた展覧会では、行政機関の心理的効果と、それに続くデザインの美学の政治的影響の調査をし、入国管理局や近代的な刑務所などの内部空間がテウの出発点となりました。 例えば、イギリスの刑務所用家具メーカーが製作したステンレス製の座席は、行政機関の待合室にあるものと驚くほどの類似性を見せています。展示空間は、これらの座席配置と、作家がデザインした2つの大きな棚、そして額装された書類(亡命、居住、帰化のための書類)によって占められています。行政システムに関する研究に基づいて、これらの書類は特定の国家や国が判別出来ないように編集・修正されていますが、その基本的な論理は明確です。申請者が特定の状況下で提供した情報は、その後国家で起こりうるリスクや将来のコストを検討材料となり、逆に申請者にとって不利に働く可能性もあります。テウは、これらの状況の矛盾、不整合、ランダム性を明らかにし、これらの状況がいかに個人を侵し、これらの制度がいかにこれらの空間のルールに適合しないすべての人々をコントロールしようとするか、避難を求める人々に合法性のグレーゾーンに入ることを強いるかを示しています。 マルチチャンネルのサウンド・インスタレーションは、ワーグナーの「タンホイザー」序曲、キーボード、マウスのクリック音、雑踏音、電話、ホワイトノイズなど、公共と個人の領域から聞こえるありふれ音を挿入しています。その結果ワーグナーの精巧な曲とノイズという異質な要素がぶつかり合い多層的なサウンドスケープが生み出されています。テウは帰化の過程を通じて管理の方法や巨大な行政機関が個人に強いる圧力に直に触れてきました。テウが1992年にチェコ共和国からドイツへ国境を越えた際の森林地帯の抽象的なイメージが、鏡面仕上げの大きなスチール部材に刻み込まれ、国家の歴史学と国境を越えた人々の移動というテーマが浮かび上がっています。このインスタレーションのもう一つの部分は、音、テキスト、彫刻、記念品、拾得物から成り、中央の2つの特大の棚に展示され不安定な空間を作り、主要工業国の政府が官僚機構に対する市民の反抗を事前に防ぐために「形は機能に従う」という原理を曲解していることを示しているのです。 「In Cold Print」と名付けられた展覧会のために制作されたインスタレーションで構成されています。この作品では戦争の心理的側面、音響兵器、冷戦時代のイデオロギーとの関連性についての彼女の継続的な調査を発表しています。 展覧会の中心となるテウの新しいサウンドスケープは、いわゆる「ハバナ・シンドローム」に関連する素材を元にしています。2016年末にキューバに駐在する米国大使館員によって初めて報告されたこの症候群は、原因不明の障害や脳震盪に似た脳損傷が現れ、音響兵器によって引き起こされたと考えられています。大衆の様々な憶測が飛び交い、米国はこれを政治的標的による攻撃とみなしました。キューバ政府はそのような告発を否定しています。展覧会では、この音響攻撃を再現するために、作家自身がその場に身を置き、脳活動を記録し、視覚と音響の両面から解釈しています。この作品はテウの主観性と政治的観点から、科学的な物語の読みやすさと証明の信頼性を問うものです。 展示スペースは、鉄柵とコンクリートの柱が迷路のように入り組んでおり、仕切られています。その中にある縦長の大型ディスプレイには、作家の「Newspaper 1969 - ongoing」シリーズの続きである新聞の見開きが映し出されています。情報機関として機能し、研究資料の複雑さとプロジェクトの操作された設定を明らかにし、証拠と反証、科学と陰謀の間の境界線をあいまいにし、アイデアの普及がいかに知覚に影響を与えるかを探求しています。 マルチチャンネルのサウンド作品は、作曲家のVille Haimala(音楽デュオAmnesia Scannerの片割れ)、神経科学者・心理学者のChristian Sumnerとのコラボレーションで考案され、Nottingham Trent Universityに所属するFrederike VanheusdenとRob Morrisのサポートを得て制作されたものです。デジタル・ニュースの画面は、Caspar Shallerのジャーナリスティックなアドバイスを受けて開発されました。 softcover 164 pages 220 x 290 mm color, black and white published by SPECTOR BOOKS https://sungtieu.com/ https://spectorbooks.com/oath-against-minimalism https://www.hausderkunst.de/en/exhibitions/capsule-11-sung-tieu https://www.nottinghamcontemporary.org/whats-on/sung-tieu-in-cold-print/

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